最近週末は家族で本屋に行ってそれぞれ本を買うのが楽しみになっています。
図書館によく行っていたのですが今は予約本受け取り時しか利用ができないので、
毎週末「あー、図書館の本を予約しておけばよかった。」と思いながら懲りずに本屋に向かっています。
今回購入した本はこちら。
「読みたいことを、書けばいい。人生が変わるシンプルな文章術」
ダイヤモンド社/著者田中泰延
ずっと話題本コーナーで目にすることが多くて気になっていた本の1つ。
ちょうどブログ運営を今後どうしていこうかなと考えていたところだったので購入。
書き方のノウハウを知りたいというよりは「自分の読みたいものを書けばいい」という巷で飽きるほど聞く「読者の求めるものを書こう」「価値のあるものを提供しよう」という考えとは一線を画していたのも惹かれた理由でした。
電通のコピーライター出身の青年失業家
筆者は田中泰延さん。早稲田大学第二文学部卒。学生時代に6000冊の本を乱読。
電通入社後24年間コピーライター第一線。ののちフリーランスとして活躍。
もうこの2行で生粋の「息を吸うように本を読み、息を吐くように書く」類の方なのだなぁ、ということが分かります。
しかし本を開いたら冒頭の問いかけに始まり、エントリーシートの挿しこみ画像から最後の「漫画で一言!」に終わるまで
田中節炸裂。なんともインパクトのあるお方。
本を開いた第一印象は「文字が少ない」「見出しが中央にあるの珍しいなぁ」です。
ただの視覚的要素やないかい笑
コピーライターを長年第一線でされていて、見やすく簡潔に物事を伝えるという方
ならではの工夫なのだろうなと感じました。実際読みやすくさらさらと読めました。
具体的なライティング技術、というよりは本質的なエッセンスを伝える。
そんな「肩肘張らないけど、誰かに伝えたくなる」本。
4行で本のエッセンスが分かる
第三章の4行が肝
第三章の最後その8でこの本の言いたいことがまとめられています。
事象に出会ったとき、
そのことについてしっかり調べて、
愛と敬意の心象を抱けたならば、
過程も含め、自分に向けて書けばいい。
加えてどのように書けばいいのか?に対して基本の「起承転結」で書けばいいと書いてありました。
起:実際の経験だという前置き(発見)
承:具体的になにがあったか(帰納)
転:その意味は何か。テーゼ化。(演繹)
結:感想と提言。ちょっとだけ(詠嘆)
デカルト?パスカル?無知すぎて()内の単語が意味とすんなり結びつかない私です。
この基本が守れていない人が多いのだからきをてらう必要はないのだ、と。
難易度の高い型よりまずは基本の型をね、ということです。
書くことは世界を狭くすると同時に広げてくれるもの
一見逆説的に思える表現ですね。
書くことつまり叙述するということは情景を肉付けしていき書いているシーンを、書き手の世界を狭めていく。
しかしそれを続けていくことで結果として自分自身の世界を広げてくれる。
自分が読みたいと思ったことを、心が動いた愛すべき何かをひっそりと書くことで、
行き先の分からない小さな列車が少しずつ進み始める。
あなたは世界のどこかに、小さな穴を彫るように、小さな旗を立てるように、書けばいい。
すると、だれかがいつか、そこを通る。
小さな個人ブログをひっそり運営している身としてはなんとも励みになる言葉です。
文字がそこへ連れていく
文字から生まれた田中さんのような方でも誰かに依頼される文というものを書き続けるのはしんどいものなのだと言います。
その中でも愛すべき箇所をみつけて「自分が読みたいように書く」ことを続けることで、それを読んだ方から連絡が入り思いもよらない出会いを経験することになります。
その度に田中さんはこう思われるそうです。
文字がここへ連れて来た
この本を読んで一番印象に残った言葉。
なんてステキな言葉なんだろう。
そしてそれだけ「書く」ということに真摯に向き合い続けているからこそそう言えることができるし、縁が出会いが繋がっていくんだろうなと感じました。
文字に携わる仕事についている訳でもなく、毎日仕事と育児とちょっとの笑いと便利で面白いものをみつけてクスッとしている日々を送っているいち個人の私でも。
そう感じる瞬間に出会えるんだろうか。
細々とアウトプットを続けることが、自分自身を理解する方法として、また浮かんでは消える様々な想いを写真や絵画のように自分の文字で切り取って、シャッターを押していく。
そのアルバムの一ページを見た誰かと身知らぬ景色を見る列車に乗ることがあるとしたら、この先の人生も楽しみ。
調べることが「良樹細根」につながる
以前「センスオブワンダー」を読んで書いた記事に子供の根を細かく広げて、枝葉を広げていってほしいと「良樹細根」(良い樹は細い根をたくさん張り巡らしているという意)という言葉を引用したことがありました。
それを思い出した本書の以下引用文。
調べることは、愛することだ。
自分の感動を探り、根拠を明らかにし、感動に根を張り、枝を生やすために、調べる。
文章を書くときに愛と敬意を失ってはいけない、という考えも相手を貶めて笑いをとったり自分の存在価値を認めさせるような考えの人もある中で、実直でいて温かさを感じました。
今年はもっとアウトプットをしていけたらいいな。
そして知らない場所へ人との出会いを「言葉に連れていって」もらう体験をしてみたい。
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